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BAR・エロスは今も・・
第1章 now・・

店を閉めて、静寂の小道を並んで歩き、自分の住むマンションの前を横目で見ながら
その2つ先の、紫苑の住むマンションを目指す。
エロスで働き始めて1年が過ぎた頃、それまで住んでいた湯島のマンションを売って、
店の近くであり紫苑のマンションのすぐそばでもある中古マンションに住み替えた。
どうせなら紫苑と一緒に住む部屋を探せばよかったかもしれないが、
これまでの二人の生き方や生活を尊重するならば、今のところはこれがベターじゃないかと考えた。
自由を愛する、という単純な事ではなく、生活を変えようと思った時に変えればいい、
という、いわゆる主義のように思っている。
一緒に暮らして、家族としての役割だとか制約だとかに縛られるのは
きっと紫苑は望まない。
いや、紫苑じゃなく私自身が望んでいない、というのが正しいかもしれない。
離婚してわかった、結婚の意味。私にとってはほとんど意味のないものになってしまった。
相手によるのだろうけれど、紙切れより精神のほうが大切なのだから、
今のところはこのままでいい、と結論付けたというわけだ。

