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恋花火-Akane-
第1章 まるで苺のような
そんな紗羅ちゃんとは


ある日いきなり会えなくなってしまう。


「紗羅ちゃんのおうち、お引っ越したんだって。」


紗羅は、ご両親の都合で遠い街へ引っ越してしまったと親から聞いた。


まだ小さかった私たちは


バイバイも言えぬまま、突然会えなくなってしまった。


もう会えないのだという寂しさももちろんあった。


けれど頭の片隅で、もう"おかあさんごっこ"できないんだなぁ


そんなことを思った。









そして月日は流れて


小学生になり


四年生のとき、私はミニバスケットボール部へ入部した。


私は人よりも、身体の成長が早かったように思う。


この頃すでに胸は膨らみ始め、生理もきた。


お休みの日に、母に連れられて、着いた先はデパートの下着売り場。


もうだいぶ膨らんできた胸のために、母はスポーツブラを勧めてきた。


…可愛くない…


手にしたそれは、ただの真っ白なもの。


ふと辺りを見渡すと


目に飛び込んできたものは


マネキンが身につけた、ピンク色の下着。


____なんだかすごく、ドキドキした。



「お母さん!あれがいい!」


指差して伝えると、母はダメだと言った。


「あれは茜にはまだ早いよ」

「えー!あれがいいのに…」


そんなやりとりをしていると、店員さんが、似たようなデザインのものを見せてくれた。


マネキンがつけているものよりは子どもっぽいけど…


いや、子ども用だから当然なんだけど


その中でも、一番大人っぽいものを選んだ。


レースがついてるもの。


バスケットボールをするとき、レースがない方がいいんじゃない?と母は最後まで反対してきたけど


私は断固として譲らなかった。


そうして手に入れた初めてのブラジャーで、胸を包んだ時


なんとも言えない気持ちになった。


鏡に映る自分が、大人の女の人みたいで


____ドキドキした。




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