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スカーレットオーク2
第10章 10 小夜子
今までで一番大きな拍手をもらった気がした。
観客を見るとベッドに横たわっているまま恍惚としている人、ぼんやりと空を見るような目で涙を流している人もいた。
目を閉じることを忘れていたかのように目を充血させながらずっと小夜子を見つめている人もいた。
自分で身体を抱きしめて震わせながらむせび泣いている人もいた。
一部の心も身体も知性も奪われていて、到底まともに評価などできないだろうと思っていた小夜子には初めて人には魂があるのだと感じる。
気が付くと小夜子のプライドも憤りも虚しさも何もかも昇華されていた。
流す涙が自分のすべてを浄化するように。
その自分の魂の歓びに打ち震えている静止した時間の中、すうっと引き込まれるように男がやってきた。
自分より年配でしっかりとしたスーツを着こなしながらも人生に疲弊を感じているような男だった。
男が告げる。
「あなたは美しい」
そのあとのことはあまり覚えていない。
覚える必要がなかったのかもしれない。
気が付くとその男『和夫』の腕に抱かれていた。
観客を見るとベッドに横たわっているまま恍惚としている人、ぼんやりと空を見るような目で涙を流している人もいた。
目を閉じることを忘れていたかのように目を充血させながらずっと小夜子を見つめている人もいた。
自分で身体を抱きしめて震わせながらむせび泣いている人もいた。
一部の心も身体も知性も奪われていて、到底まともに評価などできないだろうと思っていた小夜子には初めて人には魂があるのだと感じる。
気が付くと小夜子のプライドも憤りも虚しさも何もかも昇華されていた。
流す涙が自分のすべてを浄化するように。
その自分の魂の歓びに打ち震えている静止した時間の中、すうっと引き込まれるように男がやってきた。
自分より年配でしっかりとしたスーツを着こなしながらも人生に疲弊を感じているような男だった。
男が告げる。
「あなたは美しい」
そのあとのことはあまり覚えていない。
覚える必要がなかったのかもしれない。
気が付くとその男『和夫』の腕に抱かれていた。