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スカーレットオーク2
第15章 15 プレゼント
 クリスマス当日は平日でペンションも賑わっているので、二日遅れの土曜日の昼に四人でクリスマスパーティを行った。

緋紗と和奏は二人で一緒にケーキを作るらしい。

和夫が香ばしい匂いのチキンを焼いて持ってきた。



「酒はないけどな」

「いいですよ」

 直樹は小皿を並べて軽く料理を取り分けていると緋紗と和奏がケーキを運んできた。

ビュッシュ・ド・ノエルだ。



「おおー。いいねえ。クリスマスって感じだなあ」

「なかなか上手くできてるね」

 和夫と直樹に褒められて和奏は自慢げな顔で差し出した。

「和奏ちゃんが薪のスジを描いたんですよ。上手でしょ」

「ふふ」

 小夜子そっくりな笑顔にみんなハッとしてると、和奏が思い出したように部屋に行き人形をもって帰ってきた。



「これサンタさんが弟にくれたの」

 布でできた可愛らしい三つ編みの女の子の人形だ。

「和奏ちゃんにじゃないの?」

 直樹が優しく言うと和奏は「だってわかは弟欲しいってお願いしてたもの」 とすまし顔をして、おもむろにピアノのほうへ行き椅子に座った。

「弟に弾いたげる」



 シューベルトのアヴェマリアを弾きはじめる。

大人三人で唖然として拙いが優しい調べを聴いた。

「いつの間にピアノなんか……」

 和夫はぽかんとして和奏を見つめた。

直樹も息をのんで見つめ、緋紗も静かに聴き入った。

演奏が終わり椅子から降りて和奏は優雅に歩いてくる。

小夜子そのままだ。
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