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聞き耳
第1章 プロローグ
 ――えっ?
 
 耳たぶにマサミの体温を感じていた。彼女の汗と甘い化粧品の匂いがふわっと鼻孔をくすぐる。
 
 淳也は鼻を鳴らした。
 
 マサミが言った「私の」の後はよく聞こえなかったが、彼女が言おうとしたことは分かったような気がして、小さく頷いた。
 
 マサミの手のひらが、おいでおいで、とヒラヒラと揺れて、その指が手洗いの方を指す。
 
 マサミが手洗いの扉を開いた。一畳ほどの広さのその部屋に籠もった熱気の塊が頬を撫でた。
 
 マサミは手洗いに入る。後頭にまとめた髪の毛先が心地よく跳ねた。白い項にある産毛が揺れた。
 
 マサミは便座に背を向けて立つ。
 
 淳也も後から入った。熱気で全身が一気に汗ばんだ。
 
 彼女は窮屈そうなデニム生地のショートパンツの腰ボタンを外し、ジッパーを下ろすとVの形に裂けたような生地から薄い水色のショーツが覗いた。
 
 キツい、と言いながら、マサミは息を吐いてその身体をくの字に折った。
 
 ショートパンツの両端に指を掛けてゆっくり引き下ろす。その左右に張った丸い尻を左右に揺らしながら……。
 
 女性の裸は友人に借りたアダルトビデオで見たことがあるだけだ。心臓が口から出るのではないかと思うくらい早鐘を打っていた。
 
 酸欠になったのかと思うくらい呼吸が早くなる。ペニスにまた芯が入って、ぐいっと腹に背伸びをした。
 
「ほら……」
 
 マサミは便座にゆったり腰掛けて、淳也に手招きした。
 
 閉じていた膝が彼女の肩幅に開く。M字開脚だ。
 
 淳也は吸い込まれるように、熱気で温まったタイルに膝をついて、マサミの股間を覗き込んだ。長く形の良い彼女のふくらはぎがグイっと高くなる。
 
 叔母の逆三角を描く下腹部は固そうな芝が黒々と渦巻いた。

 マサミはティーシャツの裾を両手で押さえた。
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