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大人が寝る前に読む物語
第1章 赤ずきん
アレフside

赤い屋根の家…
そこは、赤ずきんのおばあちゃんの家だ


トントン……

掠れた声が聞こえる
具合でも悪いのだろうか


「ばぁちゃん…アレフだけど」

「あぁ…アレフかい…お入りよ」

「どうした?何処か具合が悪いのか?」

ベットに横たわるばぁちゃんは風邪だと言って弱々しく笑った

これから赤ずきんがここに来ることは知らないようだ…
具合の悪いばぁちゃんには悪いが──


「ばぁちゃん…そんな時に悪いんだが
今晩は俺の家に泊まってくれないか?」

「なんだって?」

「今夜は満月だから、この辺をオオカミがうろつくって狩人が言ってた」

「オオカミ…」

「俺の家は石造りで頑丈だから安心さ…
ここには俺が居て家を守っているから…」


そう言って、ばぁちゃんを背負って俺の家に連れてきた…
ベットを暖かくして寝かせる

食べ物も飲み物も手の届く範囲に置いておく

「アレフ…ありがとうよ」

「……」

「お前さんもオオカミには気をつけるんだよ」

「……分かってる」

「アレフが家の孫娘の婿にでもなってくれたら安心なんじゃがね……」


そんなには酷い風邪では無さそうだ…
ゆっくり寝れば、明日にはもっと元気になるだろう

「ばぁちゃん、俺は戻るからゆっくり寝てろよ」

「分かってるよ…ありがとうね」

「戸締りしてくから…誰か来ても開けちゃダメだからな」


そう言い残して自分の家を出た……
そして向かったのは赤い屋根の家


もうすぐ日が暮れる───
急がなくては…


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