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大人が寝る前に読む物語
第1章 赤ずきん

そして
10月10日の時を経て───
私の元に舞い降りた天使…
大きな産声は扉の向こうで行ったり来たりを繰り返し、
落ち着かないアレフにも届いていた
ふぎゃあ…ふぎゃあ…
真っ赤な顔で一生懸命に泣く我が子を胸に抱くと
小さな手が私の指をきゅっと握った
柔らかな唇に乳首を含ませると、勢いよく吸い付いて
お乳を飲み出した
なんて可愛いの…
そしてもう一つ
嬉しい出来事が……
一生懸命にお乳を吸っていると
ピコンッッと右の耳が立ち上がった…
そして、しばらくすると左の耳もピコンッッ
間違いなく、この子はアレフの子…
涙が後から後から零れてきて止まらない
そこへようやく母からの許しが降りたのかアレフが部屋に入ってきた
「アレフ……この子を見て…」
「あぁ…見てるよ」
2人とも涙でぐちゃぐちゃだわ
「赤ずきん…ありがとう」
「アレフ……」
「愛してる」
お腹が満たされると、そのまま眠りについた我が子を
ゆっくりとアレフへ抱かせる
壊れ物を抱く様にそっと……
「ようこそ…俺たち夫婦のところへ…」
その時の優しい微笑みに目を奪われ、
夫婦…と言う言葉に嬉しくて胸が締め付けられた
私たち──
家族になるんだ……
そう思ったら、また泣けてきて
本当に幸せな時間だった

