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大人が寝る前に読む物語
第2章 かぐや姫
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帝に初めてを捧げてから10日──


忙しい身でありながらも
日を置かずして通い続けてくれていた帝…


しかし
使いのものからの手紙で
しばらく公務が忙しく来れないとの知らせがあった…


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二日…
我慢出来た


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三日目
会いたさが募る


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四日目
もう私の事など飽きてしまわれたのかと不安が募る


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五日目
会いたさと不安に押しつぶされそうで涙が止まらない


こんな感情が自分に宿るとは…
知らなかった…
人を愛するという感情がこんなにも切なく、厄介なものだとは…

感情を持つとそれに流されて右往左往してしまう…
こんな自分が時折、嫌になるのに

こんな自分になれたことを誇らしくも思う


そして、持て余した感情が溢れ出し、
その感情の抑え方を知らないかぐやは衝動のままに屋敷を飛び出した


森の中の小屋
帝と出会った思い出の場所──


暖かな日差し
小鳥の囀り
小川のせせらぎ
花の香り


ざわついていた心が凪いでいく
あぁ……私はあの人に囚われすぎていた

少し自分を取り戻さなければ…

重たい着物を脱ぎ捨て、
軽い麻布に身を包む

あの日からあの方を待ち、毎夜のごと抱かれ
それが当たり前だと思いすぎてしまっていた


あの方は元々雲の上の存在…
そうそう容易く外に出れる方でもないのに

相当、無理をなさっていたのであろう


それを思えば……
やはり私は幸せだったのだ


小川にそっと足を忍ばせれば
春の日差しは暖かいのに
水はまだまだ痺れるほどに冷たい

オオイヌノフグリとシロツメクサの絨毯へ身を沈め
天を仰ぐ


私は月の住人…
迎えが来れば月へと戻らねばならない…

感情持つ事さえも本来ならば許されないこと…
まして…人を愛するなど……


しかし
知ってしまった感情は、もう知らぬふりなど出来はしない


かぐやは己の運命をひたすらに呪い…嘆いた
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