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大人が寝る前に読む物語
第2章 かぐや姫
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満月の夜──

外は厳重な警戒態勢
何千人もの人を配備し、各々に武器を構える

心の何処かでは分かっていた…
これが全て無意味だと…

でも…
抗いたかった

感情を持ってしまったのに
この自分でも持て余す程の愛を
もう無かったことには出来ないから…


私は帝に強請った…

「抱いて欲しい」と……

外の緊張感を考えれば、帝とてそのような事を
している場合ではないことは重々承知の上だ


ただ───
最後やも知れない

それが私を駆り立てた

抗いたいのに
何処かで諦めている自分もいる


自ら服を脱ぎ、帝に触れた

私の記憶があるうちに
愛する人の温もりを忘れないように


「案ずるな…私が護る…」

震える身体を抱き寄せてくれる愛しい人


中心に猛りを収め、揺すられる身体
最奥で繋がる喜びに震える心


涙で霞む目を擦りながら
快楽に歪む美しい顔を心に焼き付ける


「愛している」と囁く声を記憶に刻む


「泣くな……私が付いている…」


放たれた白濁がじんわりと奥を染めていく

腹の子がグルンと動いたのが分かると
「ほら…坊やも心配しておるぞ…」


「坊や…?」

「そう…この子は男の子に違いない…私の跡を継ぐ子じゃ」


また涙が止まらなくなった…
そんな未来をここで歩んでいきたい
この人と共に──


「どうか…忘れないで…」

「どうしたと言うのだ…何を恐れている…」

「少し…散歩に行ってきます…」


その時────

尋常では無い光に辺りが包まれた…
その光は屋敷の奥にいる2人をも一瞬にして照らし出す


部屋の外から慌てたように走りやってきた軍師が声をかける

「御門様……兵士共が……次々に倒れていきまする」

緊張した声が響き、弾かれるように立ち上がった帝は
簡易的に着物を身につけると私を振り返る


「かぐや…ここで待て…良いな」



待って……
声にならない叫びが吸い込まれる


その逞しい腕を掴もうと伸ばした手は空を切る

辺りは先ほどよりも眩しい光に照らされ
もう目を開けていることさえもままならない

ザワつく雑踏が遠ざかる

私の名を呼ぶ声がする…
でも…どこから?


強い光に包まれ、身体が軽くなって行く



そして…意識が途切れた
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