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スカーレットオーク3
第10章 11 夫婦
「お久しぶりです」
直樹は深々と頭を下げ、望月の好きな香美堂のプリンを渡した。
「おお。覚えてくれてたのか。嬉しいなあ」
少し痩せた顔を綻ばせて望月はプリンを眺めた。
「ありがとうございます」
園子が頭を下げた。
「いえ。ご迷惑じゃなかったらいいんですが」
直樹は恐縮してまた頭を下げた。
「おとうさん、ちょっと飲み物でも買ってくるわね。よかったらゆっくりしてくださいな」
「あ、お構いなく」
園子は病室を出て行った。
「どうだ?調子は」
「まあまあです。新人も入ってきてちょうど続くかどうかの瀬戸際ですね」
「直樹。立派になったなあ」
嬉しそうに目を細めて言う望月を見ていると直樹は泣きたくなった。
「いえ。望月さんが俺に色々教えてくれたから……」
「そんな顔するな。全くお前は昔から素直な奴だなあ」
望月はあははと明るく笑う。
「最後にお前を育てられてよかったよ。真っ直ぐな樹になった」
「ありがとうございます。俺も望月さんのおかげでずっと続けられています」
「安心して逝ける。お前がいてお前がまた誰か育てて。樹も森も育って。こうやってお前と話すだけで山の中にいるような気分だ」
望月の言葉に直樹は涙をこらえることができなくなっていた。
「お前みたいないい男泣かすなんて俺もまんざらじゃねえな」
面白そうに言われて直樹も少し笑った。
「まあ嫁は泣かさないようにな。俺はちょっと泣かしちまったがよ」
「頑張ります」
直樹は深々と頭を下げ、望月の好きな香美堂のプリンを渡した。
「おお。覚えてくれてたのか。嬉しいなあ」
少し痩せた顔を綻ばせて望月はプリンを眺めた。
「ありがとうございます」
園子が頭を下げた。
「いえ。ご迷惑じゃなかったらいいんですが」
直樹は恐縮してまた頭を下げた。
「おとうさん、ちょっと飲み物でも買ってくるわね。よかったらゆっくりしてくださいな」
「あ、お構いなく」
園子は病室を出て行った。
「どうだ?調子は」
「まあまあです。新人も入ってきてちょうど続くかどうかの瀬戸際ですね」
「直樹。立派になったなあ」
嬉しそうに目を細めて言う望月を見ていると直樹は泣きたくなった。
「いえ。望月さんが俺に色々教えてくれたから……」
「そんな顔するな。全くお前は昔から素直な奴だなあ」
望月はあははと明るく笑う。
「最後にお前を育てられてよかったよ。真っ直ぐな樹になった」
「ありがとうございます。俺も望月さんのおかげでずっと続けられています」
「安心して逝ける。お前がいてお前がまた誰か育てて。樹も森も育って。こうやってお前と話すだけで山の中にいるような気分だ」
望月の言葉に直樹は涙をこらえることができなくなっていた。
「お前みたいないい男泣かすなんて俺もまんざらじゃねえな」
面白そうに言われて直樹も少し笑った。
「まあ嫁は泣かさないようにな。俺はちょっと泣かしちまったがよ」
「頑張ります」