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スカーレットオーク3
第1章 1 二人きり
 直樹と緋紗は結婚して十四年になる。

男性不妊症だったのが奇跡的に一人息子に恵まれた。そして小学六年生の息子の優樹は今だに緋紗にべったりだ。

 十歳になった時に子供部屋で独りで寝かせようとしたがいつの間にか二人のベッドに潜り込んでくる。

息子が可愛いと思う気持ちと緋紗との間に割り込んでくる鬱陶しさに、時たま不満が湧いてくる。

自分でも大人げないが恋のライバルのようだ。

緋紗は案外あっさりとしていて一人息子を溺愛している様子がないのが救いだった。(そろそろ好きな女子とかいないのか)

直樹は優樹に早く母親離れをしてほしいと望んでいる毎日だ。





 食卓に料理が並べ、直樹は緋紗を抱き起しテーブルに着かせた。

「こぼしてるよ」

 笑いながら直樹は緋紗の口元に付いたエビチリの赤いソースを指先でぬぐってやると、恥ずかしげにいそいそとおぼつかない箸使いでご飯を食べた。



「一緒にお風呂入ろうか」

「う、ん」

 ますます怪しい箸使いで緋紗は食事をなんとか終えた。





「早くおいでよ」

 直樹が呼ぶと身体を手で隠しながら緋紗がやってきた。

掛け湯をして湯船につかってきた緋紗を抱き寄せると、ふうとため息をついて頭を直樹の胸に乗せる。

「ほんと久しぶりね。一緒にはいるの」

「のぼせるといけないからここではよすか」

「ん……」

 二人はお湯の暖かさと身体の触れ合う気持ちよさを堪能した。

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