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穢れ
第1章 穢れ
 先生の穢れをまだ知らなかった頃。




 わたしは、はじめて先生に会った日から、先生のことが好きだった。
 アオヤマのことを意識したことなんか、一度もなかった。
 



 先生のほうは、はじめは気の迷いだったはずだ。
 わたしに…小5の教え子に、もともとは、特別な感情など抱いてなかったはずだ。



 熱血は時として過ちを招く。



 運悪く先生は、わたしとふたりきりになってしまった。
 そして、あんまりにも、女を欲しすぎてた。



「すき」「ひとりじゃさびしい」「帰らないで」



 わたしはそう言っただけだ。
 母子家庭で、母親が精神障害者で、時々行方不明になる。
 わたしの潔白さは、この上ないほど、明白だろう。



 新卒で、初めて受け持った、家庭環境の劣悪な小学5年生の女子児童から夜更けに「先生、たすけて」電話されたら、熱血マンの先生にとって、駆け付けない理由がない。


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