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不埒に淫らで背徳な恋
第6章 【守るべきものがある人生は幸福ですか?】




残り香と感触が消えていく……
シャワーの音で嗚咽を掻き消した。
泣くな………泣く資格なんてないの。
お願い………最後まで気丈に振る舞って。
台無しにするわけにはいかない。




部屋に戻るともう彼も着替えていた。




「シャワー浴びないの?」




「いえ、帰ってから浴びます」




「そう……」




上着を羽織りバックを手にした瞬間、再び壁に押し倒すように引き止めて来る。
顔が近い。




「何?最後にまだキスしたいの?」




こんなこと平気で言えちゃう私はどうかしてる。
どれだけ傷付けたら納得してくれるの?
こっちだって胸が張り裂けそうなの。




「本当に………これで終わりですか?」




「そうよ」




「僕は……そんなふうに割り切れません」




「大丈夫よ、今まで出来てたじゃない。この先いつかは社内で顔を合わす事も出てくるかも知れない。その時は元同僚として振る舞ってね?」




「僕はそんな器用じゃない…!」




取り乱さないでよ。
そんなことをしても私の気持ちは曲げられないの。
気持ちは嬉しいけど……リセットしなきゃ。




「いいよ……引きずっても」




「え…?」




たくさん泣いて……私を恨めばいい。
そっと髪に触れてキミを見上げる。




「でもごめんね……私はもうどうしてあげることも出来ない。悪い女でごめん」




もう名前呼ばないで…と彼が私の名を口にする前に唇で塞いだ。




サヨナラのキス。




舌を入れない数秒間。




「次はまともな恋愛してね」




ううん、嘘。




私以外好きにならないで。
私以外抱かないで。
その顔もその声も私だけのもので居て。
引きずり倒して。




バイバイ。





本気で愛してたよ。





















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