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不埒に淫らで背徳な恋
第1章 【心の歪み、気付いてる?】




稜ちゃんの制止を振り切って話し出したお義母さん。
まだ止めようとする稜ちゃんを今度は私が止めた。
いいよ、聞くから。




「前にも少し話したと思うんだけど……私たちも長い間子供に恵まれなくてね、たくさん検査してやっとの思いで稜士を授かったの」




「はい…」




「今は役職もついていて責任があるお仕事をしているのは充分理解してるつもりよ、でもね、いざ欲しいと思った時には簡単に恵まれる訳ではないの…女性にはほら、リミットがあるでしょ?私たちもその…元気なうちに孫の顔が見たいわ」




「瑠香、気にしなくていいから。ちゃんと2人で話し合うから母さんもういいだろ?」




話し合うって何?
どのタイミングで子供作るかってこと?




「もう3年目だし…周りからもまだなのか?ってねぇ?あなた…」




「もう止しなさいこんな話…」




止しなさいっていつまでこんなやり取りさせられるの…?




「瑠香さん、ストレスは不妊になりやすいからもし病院を探すんなら良い病院紹介するわね?」




不妊……?原因は私なの……?
出来ないのは私が欠陥品だからってこと?
出来ないんじゃなくて出来ないようにしてんの。
そんな子供生むことが重要なわけ?
仕事に生き甲斐感じちゃいけないの?




「あの、病院って…不妊治療に向けてってことですか?」




「ちゃんと出来やすいのかどうか調べてみることも大事だと思うわ、今じゃ妊娠出来たけど2人目を不妊治療する夫婦だってたくさん居るの、女性の身体はその都度違うのよ」




まだ生でしたことないのに何が不妊治療よ。
そっか、私がまだいらないって言ってるの話してくれてないから単なる出来にくい身体だって思われてんだ。
自分の時と重ねて見られてるんだね。




きっとお義母さんは私にこの話をずっとしたかったんだろう。
なかなか煮えきらない息子に代わって。
正直、こんな形で知りたくはなかったけど。




帰り際、今度は稜ちゃんに向かって
「夫婦なんだから瑠香さんのことちゃんと支えるのよ?」なんて言ってる。
どんな境遇であっても自然と笑顔は作れるものだ。
長年営業で培ってきた変な特技。




最後まで普通に振る舞えたと思う。
車に乗り込むまでは。











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