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不埒に淫らで背徳な恋
第10章 【不埒に淫らで背徳な愛なら許されるのでしょうか?】

まだ首に掛けていた名札プレート。
そっと手に取る佐野くんは私の名前を確認している。
「離婚……されたんですね、これは旧姓?」
「うん……」
「良かった」
その一言で不安が過ぎる。
再び顔が近付いてきてとっさに背く。
言わなきゃいけない。
こんなの…本当に…自分の招いた結果に……
泣くのだけは卑怯だから。
「でも私っ……!」
ちゃんと伝えるべきだと顔を上げたらもう塞がれていた。
違うの、言わせて…?
もうこれ以上巻き込みたくない。
苦しい……次こそ這い上がれなくなっちゃう。
強引かと思いきや絡ませる舌は想像以上に優しくて蕩けさせる。
こんなキス……落とし込まないでよ。
離れたら……言わなきゃ。
「言わないで……」
心の中を読まれたかのように言葉を被せてくる。
途中で吸うのを止めたから互いの間に唾液の糸が引いている。
こんな瞳をされたら何も言えなくなるのわかっててするからズルい。
「わかってる……2年も離れたんだ、それくらい」
言いながら眉をひそめてる。
あまり見たことない表情にさえ色気を感じて目を逸らした。
「でも今は……今だけは僕を選んで」
聞き覚えのあるセリフ………
当時の記憶が一気に蘇る。
ゆっくり視線が戻ったら逃れられなくなった。
やっぱり……こうなる運命だったの?
「変わりましたね……瑠香さんは」
「え…?」
「もっと綺麗になった……どうやったって僕の心を掴んで離さない」
熱っぽい視線にまだ射抜かれている。
きっともう……何度でもそうなるんだ。
結果は同じだった。
私はこの先もずっとこうなってしまう。
「待って……でもやっぱり、ここじゃ」
唇が触れる直前に寸止めしたら
「こういうのも懐かしい」って結局塞がれた。
触れてしまえば抗えない。
腰から引き寄せられて更に熱を帯びる。
わかってる……ここは社内。
いくら人が来ないとはいえもしも誰かに見られたりでもしたら……
「大丈夫……この時間帯は誰も来ません」

