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不埒に淫らで背徳な恋
第12章 【エピローグ】

そっと胸に頭を預ける。
「私こそごめん…そんなことまでさせて」
うちにとってなくちゃならない取引先だから快くんも責任感じたんだよね。
顔見知りだし余計に。
「大事にしますって約束してきた…」
「うん…」
「殴られちゃったけど」
「えっ!?」
思わず顔を上げてマスクをずらす。
あ………唇、怪我してる。
切れてるところから血が滲んでる。
「心配しないで…?これは男の勲章だから。認めてもらえたよ?」
「バカ……痛かったでしょ」
「絶対に幸せにしないと奪いに行くって言われたから僕は死んでも瑠香さんを離さない」
傷口じゃない方に触れるだけのキスをした。
人が居るところでこんなこと……
しかも会社の前で有り得ない……?
仕方ないじゃない。
快くんがそうさせるんだもん。
失いたくない……焦らせる。
身体が勝手に動いた。
そっと抱き締める。
「瑠香さん………連れてって」
「え…?」
「今日……泊まるとこない」
「傷の手当て…しなきゃね?」
「瑠香さん……引っ越してた」
「うん……だって離婚したんだもん」
「じゃあ新しい家に僕も帰りたい…」
可愛らしく指を絡めてくる。
「わかった、おいで」
ゆっくり駅に向かって歩き出す二つの影。
「社長のモノ……もう置いてないよね?」
今度は拗ねてる……コロコロ表情変わるね。
大丈夫、モノなんて置いてないし全部処分してるよ。
隣で安心したように目尻下げて笑う横顔が好き。
マスクで傷口隠してたんだね。
殴られる覚悟で会いに行ってくれた。
殴られても私を離さないと言ってくれた。
私はそれに応えたい。
ようやく家に連れて来ることが出来た。
洗濯物だけ急いで片付け、寝室から救急箱を出しているとそっと後ろからハグしてくる。
「待って……手当てしないと」
「うん……瑠香さんの家だって思ったら堪らなくなって…少しだけこのままで居させて」
うん……背中から快くんの心音が響いてる。
温かい体温……耳元の吐息。
甘い声で呼ばないで。

