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不埒に淫らで背徳な恋
第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】

もう終わっちゃった。
離れた手は寂しいけど満たされてる。
物足りなかったかな?
ううん、横顔が嬉しそうにしてる。
それ見れただけで私も嬉しい。
後になって、あのメール良いでしょ?ってドヤ顔の彼も可愛くて仕方ない。
万が一誰かに見られても報告メールだし、しつこくは送りませんから…って。
「どうしようもなく会いたい時は……何て送ればいいですか?」
切なそうに言わないで……
だいぶ待たせてるってわかってる。
「すみません……困らせましたね」
無理に笑う必要もないよ。
触れたいのは私も同じなのに。
置かれてる環境が違うだけでこんなにも縛りつけてる。
この手を取り飛び出せたらどんなに楽だろう。
ハンドルに顔を埋めて精神統一。
助手席の佐野くんをジッと見つめた。
「10秒だけ……その一言で充分わかる」
言ってて恥ずかしいのにこの笑顔の虜だ。
「チーフ、可愛いです」
「やめて」
自分でも顔真っ赤なのわかってるから。
あまり見ないで。
わざとチーフって呼んでこっち向かせようとする。
「10秒だけ」
「早速使うな!」
お互い吹き出して笑う。
あ……ガソリンランプついちゃった。
近くのガソリンスタンドに立ち寄る。
そろそろ洗車もした方が良さそうだね。
コインを投入し洗車中は車内でメール確認でもしようとタブレットを手に取ったら横から取り上げられた。
「こんな時でも仕事ですか?」
「え…?」
車体は水のシャワーがかかり、前から順に洗剤とブラシで覆われていく。
全部覆われてしまえば外からは見えない状態。
手を握られ一瞬であの瞳になる。
「10秒だけ僕にください…」
暗くなる車内。
前は壁になっていて死角になる。
後ろもブラシで見えなくなった。
頭から引き寄せられ重なる唇。
10秒ルール……今になって後悔してる。
ネクタイごと掴んで求めてしまうから。
足りないの……もっとって欲しくなる。
私だって我慢出来なくなるのよ……

