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不埒に淫らで背徳な恋
第2章 【秘密を共有するのは罪ですか?】
「あ、チーフ見っけ!何してんれすか?旦那さんにメールですか?」
またもや登場、田中くん。
すでに千鳥足だ。
「田中くん、トイレならこの奥…っ」
教えてあげたら抱きついてきてびっくりした。
壁に押し倒される。
「キャッ…!ちょっと田中くん!?」
「うぅ……もう飲めません」
お、重い………押しつぶされる……!!
何なのよもう…!!
「先にトイレ行きなってば…!」
思いきり足を踏んづけてやろうかと思った矢先。
勢いよく田中くんの身体は離れ、息苦しかった私は助かった。
「田中さん、飲み過ぎですよ?」
「あ……佐野くん」
ひょいと片手で田中くんを引き離してる。
「チーフ、大丈夫でしたか?遅くなってすみません」
「ううん、助かった…ありがとう」
「田中さんは僕が連れて行きますね?」
「う、うん…」
「ほら、歩いてください、行きますよ?」
酔っ払いの扱い、慣れてる。
頼もしい背中を見届けた後、待ってしまっている自分。
戻って来た佐野くんの隣に行く。
田中くんを支えたまま歩くのに軽々と持ち上げて格好良く見える。
「大丈夫だった?」
「ええ、何とか…」って苦笑い。
「何かごめんね?佐野くんの歓迎会なのに」
「本当っすよ、全然僕と喋ってくれないし…」
「そ、それは……」
ちょっと、田中くん居るのに…って半分寝てるか。
こんな時にクシャッと笑うの禁止……
心臓に悪い。
楽しい会もお開きになり、ベロンベロンに酔った田中くんは同期のみなみちゃんが送ってくれることになった。
皆をタクシーで見送った後。
カバンから取り出した携帯。
(今から帰る)
稜ちゃんに送信しようとした手を止められた。
腕を引かれ人気の居ない死角となる自販機に隠れる2つの影。
熱い身体……触れなくてもわかる。
頬を包まれゆっくりと視線が重なり合う。
知ってる………この瞳は誘惑の瞳。
「佐野くん……外だよ?」
「僕以外の男と喋ってた罰です…」