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生徒会長・朝倉美咲
第9章 全校集会
「みなさん、おはようございます!今日から夏服ですね。見たところ、冬服を着て来てしまった人はいないようで安心しました。さて今週の行事予定はーーー」

壇上から、美咲は堂々と挨拶をした。
学園長や教師達の話を聞く時とは、生徒の姿勢が違っている。
これが、朝倉美咲本来の姿である。




あの後、美咲は奇跡的に男子トイレから誰にも見つからずに出ることができた。
登校してまず目指したのは、運動部のクラブ棟だ。テニス部が朝練をしていた事で、鍵が開いていることを確信した。
棟内にあるシャワー室で裸になって身を清め、駅の売店で買ってきたタオルで身体を拭き、制服を着る。
いつもは昼食後に使う歯ブラシで何度も歯を磨いて、何度もうがいした。
そして今、なに食わぬ顔でここに立っている。



「それから、何点か注意事項がありますーーー」



普段通り振る舞ってはいるが美咲の頭の中は今朝トイレでおきた出来事でいっぱいだった。

(私は名前も知らない男の人のおちんちんを舐めた口で、みんなに挨拶してるんだ…)

(みんな、私ね、今、制服の下は裸なんだよ)

(私、痴女だって言われちゃった)

(ここで全部話したら、みんなどうするかな?)



「ーーー生徒会からは以上です」


全校生徒の拍手に包まれて、美咲はステージを降りた。
憧れの生徒会長の太ももをトロリと伝う一筋の粘液には、誰一人気づかなかった。

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