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生徒会長・朝倉美咲
第32章 菜々美、独白
駆けつけた葛巻先生がアイツと話をしている間、私達は廊下にいた。

お姉ちゃんが、菜々美は勇気があると誉めてくれたけど、それはちょっと違う。
私はお姉ちゃんみたいになりたかった。
お姉ちゃんだったら、レイプされても…ううん、そもそも騙されないだろうけど、卓ちゃんを巻き込むようなことはなかったと思う。

そう考えたら、自分が許せなくなった。
私が弱虫だったせいで、卓ちゃんがアイツに訴えられるなんてことになったら、生きていられない。

だから、本当は消してしまった脅迫メールがまだあるようなフリをしてアイツを訴えると言ったのだ。



しばらくして葛巻先生がお姉ちゃんを部室に呼び入れた。

すぐに先生だけ出てきて私に
アイツは説得したから早まった真似はするな、と言った。

それから、いくつかのメモリーカードを卓ちゃんに渡して
破棄してやれと耳打ちしたのが聞こえた。

そう、すっかり忘れていたけど、いやらしいことをされたことは全部ビデオや写真に撮られていたのだった。

そして葛巻先生は授業が始まるから教室へ行けと私達に言うと、自分は部室に戻った。


私は、大事にならずに済んだことにホッとし、葛巻先生を嫌っていたことを恥じた。
卓ちゃんも先生を見直したみたいで、ものすごく感謝していた。


卓ちゃんは、カードを廊下に叩きつけて何度も何度も踏みつけた。

私を抱き締め「全部忘れろ、菜々美とは絶対に別れない」と言ってくれた。
嬉しかった。


私は卓ちゃんにしがみついて泣いた。



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