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性に溺れる私
第11章 【ハメ撮りの果てに見える世界】
瞬く間にブレザーのボタンは後輩たちに盗られていった。
袖口も引きちぎられて前も留めれない。
「藍沢、卒業おめでとう」
帰ろうとしたけど、そう言葉を掛けて頂いたのは担任の先生。
照れくさいがこういうやり取りってちょっとウルウルしちゃうね。
例え数ヶ月だったとしても真剣に進路について一緒に悩んでくれた先生だったから。
「ありがとうございます、少しの間でしたけどお世話になりました」
担任の方から泣くなんてズルいですね。
今どき珍しい熱いタイプの先生。
ほとんどラガーシャツ姿だったのがフォーマル着てて皆からイジられてる。
愛されてるんだなって伝わってくる。
そんな担任が私に真剣な顔で。
「藍沢、最初に謝らせてくれ……すまん!」
急に頭を下げるからびっくりして目を丸くする。
周りも訳がわからず動揺してる。
頭を上げた担任は真っすぐ私を見てこう言ってくれた。
「今日だと…教えたのはこの俺だ。頼む、話だけでも聞いてやってくれ」
「え、何の話ですか?」
すると担任は迷わず門の方へ走り出した。
完全に閉まっていた門を開けて誰かを呼んでいる。
外に誰か居るの…?
ドクン…!と心臓が鳴った。
担任に声を掛けられて入って来た人物。
一寸の狂いもなく蘇る面影。
持ってたカバンも卒業証書の筒入れもその場に落としてフリーズしてしまった。
ゆっくりとその人物はこっちに向かって歩いてくる。
ねぇ………ちょっと待って。
心の準備出来てないよ。
ウソでしょ……?ウソだよね……?
キレイな花束を持って近付いて来る。
しかもビシっとキメたスーツ姿で。
大好きだった銀縁眼鏡。
周りが「誰?誰?」と騒ぎ出す。
卒業生が皆見てるよ……目立ち過ぎ。
泣いちゃうくらい格好良いじゃん。
「え……藍沢さん泣いてる?」
「藍沢さんの彼氏?元カレ?年上じゃん」
「めっちゃ大人……」
次々に声が聞こえてくる中で私の目の前までやって来た。
「藍沢……」
懐かしい声に堪えきれず涙が溢れる。