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性に溺れる私
第2章 【先生の監視】





「ゲッ、次は榊かよ」
「眠くなる…」




隣からそんな声が聞こえてくる。




「ちょっと寝ないでよ?生物も追試でしょ」




「だってほとんど何言ってるかわかんないし」だの、
「俺ギリギリセーフだったから授業聞かなくていーや」だの煩い。




「とにかくノート取らなくていいから聞くだけ聞いてて。あと、榊先生…ね」




最後は語尾を強めに言ってやった。
授業が始まり、楽しみにしていた出席確認も二人に気を取られて素っ気ない返事になってしまった。
宣言通り、寝る態勢に入る二人をいかに起こすか。




先生が黒板に向かった時。
メモを丸めて机に頭を伏せている猪俣くん目掛けて飛ばした。
見事に命中し飛び起きてる。
ちょっと痛かったかな?




メモを広げて落ちたのは一緒に包んだチロルチョコ。
(寝るな!起きろ!頑張れ!)




それを見て目が合った。
前を指差して聞くように促す。
向こうが先に笑ってきたので笑い返した。




猪俣くんは穂高くんと少しタイプが違う。
髪は黒いしチャラくもない。
何でこの二人が友達?なんて疑問だったけど中学が同じで部活は違えど仲は良かったみたい。
家も近いとか。




耀平に大樹…って呼び合ってるしね。
微妙にデコボココンビだけどこの短期間で密に過ごしていると漫才みたいな掛け合いや息のぴったりさに思わず吹き出してる。




「え、何…今の。もう一回やって」




勉強会そっちのけで笑わされることもあった。
シャーペンを持つ手が震えてツボにハマる。
ちゃんと教えてよって言いながらそっちも堪えてるじゃん。




嗚呼……ヤバい、これぞアオハルだよな。




いつも霧がかかったような教室だったけど二人のお陰で今はキラキラしてるのかも知れない。




「よし、今日はこれくらいで終わろうか」




「あ、ヤベ、古典の教科書持って帰るの忘れた!5組取りに行って来るわ」





急いで出て行った穂高くん。
移動教室だったんだね、5組は上の階だから…ってまずは職員室に鍵取りに行かなきゃじゃない?
少し時間かかりそう。




急に猪俣くんと二人きりになっちゃって沈黙。
そっか、いつも明るい穂高くんが間を取り持ってくれてたのか。
今更ながら感謝。











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