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性に溺れる私
第2章 【先生の監視】





「藍沢さん、見て」




そう言われ顔を上げると古典の教科書。
ん?ってなったけど名前を見せられ吹き出す。
だってソレ、穂高くんのじゃん。




「え、今取りに行ってるよ?」




「俺に渡してきたのアイツすっかり忘れてやんの、バカじゃね?」




「じゃ、渡してあげようよ、ダッシュで行ってたよ」




携帯を出してメッセージを打とうとしたけどそれを止めてきたのは猪俣くんだった。




「そうじゃなくて…!ごめん、二人になりたかったから」




「え…?」




真っ直ぐ見つめる顔は耳まで真っ赤になっている。




「藍沢さんと二人になりたくて」




もう一度言ってくれたこと素直に、あぁ…そうなんだと受け止める。
ストレートに言われたからといって特別何かを感じることもない。
昔から、告白されるたびに舞い上がることもなかった。




「まだわかんないとこあった?」




「いや、勉強とかじゃなくて」




「ん?じゃあ何?」




顔を覗き込んだら固まっちゃった。
この距離はやり過ぎか。
離れようとしたけど……




「あ……待って」




「えっ!?」




「動かないで」




「はい…」




更に顔も身体も近付く。
ドキドキしてんのかな?猪俣くん。
ちょっとウブで可愛いとは思う。
きっと童貞なんだろうね。




前髪にチリがついてた。
そっと指で摘んで見せる。




「ほら、埃ついてた」って笑ったらその手を掴まれた。
その時、教室のドアが開いて二人の視線を奪う。




入って来たのは穂高くんではなく。




「榊先生……」




ハッとして掴まれていた手を解いた。
「あ…ごめん」と猪俣くんも小さく謝る。




眼鏡の奥の冷たい瞳。




「まだ残ってたのか?」




「はい……もう帰ります」




「戸締まりしておくよ」




「ありがとうございます、帰ります」




鞄を持ち二人で出て行く。
ちょうど穂高くんも戻って来て誤解を解いてる。
私は振り返り先生を見た。
先生もこっちを見ていて小さくほくそ笑んだの。











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