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性に溺れる私
第2章 【先生の監視】





「わかった、それまでゆっくり休んで」




「猪俣くん、お願いがあるんだけど」




ちょうど休み時間を終えるチャイムが鳴った。




「ん?何?」




保健室の先生も戻って来た様子で「具合どう〜?」とカーテンを開けられた。
猪俣くんと一緒に居るところを見られニヤニヤされたけどそんなんじゃないです。
四十代半ばの女の先生は優しく諭すように声を掛けてくる。




「校内でイチャイチャするのは良いけど子作りはまだダメよ〜」




「いや、先生、俺たちそんなんじゃ…」




「そんなんじゃないの?」




真顔でそう聞いたら一人で焦ってる。
ごめんね、利用して。
先生完全に誤解しちゃったね。




「ほら、授業始まってるよ!彼氏は帰った帰った」




先生だけが出て行って一瞬二人きりになった仕切りカーテンの中で、行こうとする猪俣くんの袖口を摘んでみた。




「お願い、次の休み時間迎えに来て」




彼だけに聞こえるよう小声で言った。
コクコクと二度頷いて真っ赤な顔は出て行く。
ちょっと手を貸してもらわないと歩けないかもってだけなんだけど。




猪俣くんが帰ってった後。
邪魔しちゃったねって保険の先生がおどけてきた。




「本当、そんなんじゃないです…心配して来てくれただけで」




「そうなんだ?彼はそんな気だと思うけどな〜」




「……ですかね」




「あ、次の授業生物でしょ?榊先生にも症状伝えといたから」




「わかりました、ありがとうございます」




どんな顔して聞いたんだろう。
もう知ってた…?




「凄く心配してくれてたわよ、もうすぐお子さん生まれるしパパになるから父性でも出てきたのかね?詳しく症状聞いてきたからびっくりしちゃった、前までそんなことなかったのに」




人って変わる時は変わるのね〜なんてカーテン越しから聞こえてる。




変な態度取らないでよ。
私たちは何ひとつ接点を持っちゃいけないの。
大勢いる中の一人の生徒をちゃんと演じているのにボロ出さないで。




常に冷静で居なさいよ。
たったひとつの綻びが簡単に破滅に追い込むことくらい理解出来ているものだと思っていた。
それ相応の覚悟で踏み込んでくれたんだって勘違いしてたみたいだね。










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