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性に溺れる私
第5章 【支配する悦び】
クラス主催のコスプレ喫茶。
朝からメイクに大忙しなヘアメイクチーム。
しかし、意外とやる気満々な男子ばかりでやりやすい。
一人を除いてはね。
「大樹、いい加減機嫌直したら?」
「こんな格好したら一緒に回れないじゃん」
ブツブツとまだ言ってる。
大きな鏡に向かって座らせていたけど私の方に向き直して顔を近付ける。
甲に出したクリームを肌に塗ってメイク開始。
「とびきり可愛くしてあげるから」
「何か玲奈、ノリノリじゃね?」
「そりゃ、彼氏と初めての文化祭だからね」
黙らせるにはこういうのが一番かも。
隣でメイクしてるクラスメートに冷やかしを受けるも大樹嬉しそう。
フルメイクしてウィッグをつけたら。
「え、可愛い!玲奈ちゃん天才!神ってる!」
うーん、似合い過ぎて私も困るほど。
本当に女の子に見えなくもない。
大樹の女子高生、完成致しました。
他の男子からも高評価で恥ずかしそうな大樹、満更でもなさそう…!?
最後にドラキュラの穂高くんがメイクされてる間、ドレスチームに加わって男子の色んなコスプレを完成させていく。
こっそりドレスチームの子に教えてもらったけど。
誰だ、藍沢さん良い匂いするって言ってた奴は。
大樹に聞かれるとややこしくなるからやめて。
愛想笑いしか出来ない。
「あ、大森くんグロス忘れてる」
携帯していたグロスをその場で少ししゃがんでもらって塗っていく。
「あっ…」て動くから顎に手を添えた。
「動かないで」とトントンしながら塗り終える。
「完成、大森くん可愛い」
「お、おう、サンキュ」
気持ち良く送り出し、すぐに調理補助に向かわなきゃ…と思ったら真後ろに穂高くんが立っていて危うくぶつかりそうになった。
「お、ドラキュラ似合ってるね」
思ってた以上に本格的?
コスプレもサマになってる。
背丈が高いから何でも似合っちゃうね。
「だろ?こりゃモテるべ」
カラコンに口元には血糊、笑うと八重歯に牙もつけてる。
後は何もしなくてもイケメンだからこれだけで完成品なんだよね。
「そうだね、写真撮られまくるんじゃない?」
「妬いてる?」
「は?何でそうなんの」