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掃き溜めの星屑
第1章 掃き溜めの星屑
 池田くんの負のエネルギーや悲しみや苦しみは音楽になると途端に輝きを放ち、観客を湧かせる。
 普段はコッペパンで命を繋いでいる池田くんが創る音楽で、人が喜んでる。
 もしかしたら「明日もがんばろうかな」と思う力を池田くんは与えているのかもしれない。


 普段は池田くんだけを睨みつけている右前腕の目玉の入れ墨が、今だけはほかの人間を睨みつけている。
 まるで『お前らに池田くんの何が分かるんだ』と言っているみたいだ。
 

 池田くんが遠くに見える。


 舞台の上の池田くんは、遠くに感じる。



 …さっきわたしがキスしたひとは、本当にこの人だったんだろうか?



 ファンたちはみんな、スマホを池田くんに向けている。
 画面越しに池田くんを見てる。
 彼らにとってそれは、本物の池田くんなのだろうか。  




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