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掃き溜めの星屑
第1章 掃き溜めの星屑
 池田くんは「ありがとう」と言って体を起こし、早速コッペパンを頬張っていた。
 橋本くんはちょっと嬉しそうだった。
 

 わたしは池田くんのことを、みんなより少しは知ってる。


 池田くんのゲゲゲの鬼太郎みたいなボサボサ髪に隠れた耳たぶにはピアスがいっこずつ光ってること。


 袖の下に隠れてる右前腕には入れ墨が入ってることもわたしは知ってる。
 目玉のデザインのやつだ。
 池田くんいわく衝動的に自殺しないように常に監視しといてもらえるように、目玉を選んだんだって。



 池田くんは病んでいる。
 だから薬もいっぱい飲んでる。
 ふつうの日常を送れるようになるための薬だ。
 でも薬を飲んでもふつうの日常を送れない池田くんのことが、わたしは好きだ。
 


 社会では「使えないやつ」と陰口叩かれる池田くんの居場所があるこの学校が、わたしは好きだ。




 
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