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地味子が官能小説を書いたら
第7章 この夜に乾杯!

---------- 【破】イヤな奴は意外とイイ奴だった⑧ ----------

「いやーーー!良かったよ、紗栄子ちゃん、だっけ?」

「最後、膣中出しの指示だったんだけど、こっちの方がリアルな感じが出ていて良かったよ」

紗栄子は、杏果に抱かれながら、「はあ~」と生返事をする。

「あ、バタバタだったから、僕の事を紹介してなかったね」

「僕は、NN興行の滝本啓二(たきもとけいじ)、立花さんとは長い付き合いだ」

「こっちは、カメラマンの木下稔(きのしたみのる)」

「いやいや、最後、演技とは思えないくらいエロかったよ、本当に初めての撮影?」紹介されたカメラマンの木下は、紗栄子の演技を褒めちぎった。


しかし、実際は演技でもなんでもなかった。紗栄子は自然とああいう行動に出たのだ。

いままで、セックスの経験はあっても、あんな事はやったことはない。

あの瞬間、堪らなく海が愛おしくなった。できれば、海の情熱を膣中に欲しかった。

その代わりに、口から体内へ、海が放った海の中にいた分身を、自分の中に取り入れたのだった。


「さ、紗栄子ちゃん、控室へ行こうか?」

「紗栄子ちゃ~ん、僕は滝本さんと少し話があるから、後でそっちに行くね」

「社長、控室は鍵をかけますから、のぞき見できませんよ」

「あれれ、モモちゃん、僕はそんなことしないよ~」

紗栄子はペコリと頭を下げると、杏果と連れ立っていった。


撮影に使った部屋を出ると、ロングのTシャツにジーンズと言ったラフな格好の海が、男優兼スタッフの控室から出てきた。

(やっぱり、カッコイイ)

紗栄子は胸の高まりを抑えきれず、海へ駆け寄る。

「ねえ、海、私たちの今後の事なんだけど」

「今後の事?」

「うん、さっき好きって言ってくれたじゃん」

「はあ?おまえ、馬鹿?」

「へ?」

「あれは、演技だよ、おまえに感情移入してもらうための」

(えええーーー、あれって、嘘だったの?)

「な、なによ、その気にさせといて、いまさら嘘だなんて」

不満げな表情の紗栄子に、海は近づき、ポンと紗栄子の頭に手を乗せた。

「わりぃ、でも、おまえ良かったよ、頑張ったな」

紗栄子は、胸の奥がキュンとしまる思いがした。

「ま、また会える?」

「さあな」


海はそう言うと、後ろ手に振って、去っていった。




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