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地味子が官能小説を書いたら
第9章 モダンガール
---------- 【破】カノジョ⑦ ----------
メイクを極力薄くし、髪を後ろに束ねると、可愛い女子高生の出来上がりだ。
「わお~、凄い、わたし女子高生に戻っている、てか、むちゃくちゃ可愛い~~」
杏果がメイクを終えると、紗栄子は感嘆の声をあげた。
「紗栄子ちゃん、まだまだ女子高生で通用しそうね」杏果も満足そうだ。
「えへへ、なんだか、嬉しいかも~」そう言って、紗栄子は鏡の前で身体を捻って、スカートをヒラヒラさせてみた。
少しウキウキする紗栄子であった。
「さ、時間がないから、ロケ地に移動しましょう」
「私は、ここに残るから、ロケは少数精鋭で出かけるのよ」
「それじゃあ、いってきま~す」
紗栄子は、『少数精鋭』のメンバーと共にロケ地へ向かった。
ロケ地と言っても、ウィークリーマンションを出て直ぐの通りだった。
そこは、コンビニや小さな商店、雑貨屋があるだけの、住宅地に毛が生えた程度の繁華街とは呼ぶには寂しすぎる通りだった。
人もあまり歩いていない。
(こんなところでナンパするのかよwww)相変わらず雑なシナリオだと紗栄子は笑った。
『少数精鋭』のメンバーは、女優とカメラ、そして声をかける男優の三人だけだ。
紗栄子がぶらぶら歩いている様子を、カメらが追う。
そこへ、「ねえねえ、一人?」と男優が声をかけて近づく。
「はい、なにか?」
「ちょっと今、可愛い女子高生にアンケートを取っているんだけどね、少し時間取れないかな?君、凄く可愛いし」
「ええ~、なんのアンケートですか?」
「今時の女子高生のファッションに関するアンケートなんだけどね」
といった具合に撮影は進む。
(こんなんで、女子高生がついて行くわけねーよwww)と思い、またしても笑ってしまう。
「じゃあ、少しだけなら……」
「ありがとう、さ、さ、こっち」
といった具合に撮影が進み、映像をカメラマンがチェックし、OKという事で撮影現場へ戻る事となった。
と、その時、コンビニから出てくる店員に、紗栄子の目が止まった。
(海だ!)
紗栄子は一目散に海の元へ駆け寄り、抱きついた。
「海!」「海!」
「うわ!なんだ、おまえ!」