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ハニードロップ
第2章 本物
「あ、そういえば、今日芦屋くんのお店に私が行ったの何で知ってたんですか?」
三木村さんが店に来た時、ドアを開けると同時に名前を呼んでいた。つまり、私がいるのを知ってたってことだ。
「ああ、もちろん尚に頼んでたんだ。奈子ちゃんが来たらすぐ連絡してって」
「私が行ってからそれほど時間経ってなかったのに、来るの早かったですね……」
「俺が行くまで必死で引き止めてって頼んでたんだ。たまたま都内にいてよかったよね、尚も俺も」
「ふふ」
そんなに必死になってくれてたんだと思うと胸が熱くなる。ウジウジ泣き言言ってたとも言ってたな、芦屋くん。もっと早く会いに行けばよかったなぁ。
「あのね、三木村さん。わがまま言っていい……?」
「うん!なに?!」
何でそんなに嬉しそうなんだろう……。ニコニコと私の言葉を待っている三木村さんに、思い切って口を開く。
「連絡先教えてほしいなぁ、なんて……」
「え?!そんなの当たり前じゃん!俺が聞こうと思ってたし!奈子ちゃんになら何でも教えるよ?通帳の場所も実印の場所も!!」
それは教えちゃダメなやつ。ああ、でも、勇気出して聞いてよかった。繋がりが、またひとつ。