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ハニードロップ
第3章 信じて
基本的に、スマホを見ない人間なのだ。なくても生活に支障はないし、鳴ったら見るぐらい。だから、気付かなかった。電源を消してしまっていることに。
「お、食堂にいるなんて珍しいな」
お昼休み、たまには食堂でお昼ご飯を食べようと列に並んでいると、吉村が声をかけてきた。
うん、と返事をする。吉村は何故かじっくりと私の様子を観察した後、ぽんぽんと肩を叩いた。
「やっぱり元気ねーな」
「え?」
「ま、しゃーねーよ。あんな人がお前みたいな地味女に本気で惚れるわけねーし。早めに分かってよかったんじゃないの?」
「ん?」
意味も分からず悪口を言われている。あんな人、とは多分、三木村さんのことだろう。確かに最近、毎日毎時間来ていた連絡、あの人実は暇なのだろうかと思うほど来ていた連絡はぱったり途絶えている。私は私の知らないうちに振られたのだろうか。
「何のはな……」
「あ、テレビ見んなよ!」
見るつもりもなかったのに、吉村が言ったせいで気になって見てしまう。食堂に設置してあるテレビの画面には
『三木村博也、香月ゆきえ、極秘結婚!!』
と書かれていた。香月ゆきえとは、三木村さんと同い年くらいの主役級の有名女優だ。とっても綺麗な人。
週刊誌に掲載されたようだ。二人が寄り添って同じマンションに入っていくところが。三木村さんは後ろ姿だけれど、三木村さんのほうを向いて楽しそうに笑っている香月ゆきえ。白黒の写真ですら美しい。
「いや、まあ……、香月ゆきえには勝てねーよな」
「うるさいな」
それからいつもうるさい吉村が黙ってしまったので、私のお昼休みはとても鬱屈としたものになった。
「お、食堂にいるなんて珍しいな」
お昼休み、たまには食堂でお昼ご飯を食べようと列に並んでいると、吉村が声をかけてきた。
うん、と返事をする。吉村は何故かじっくりと私の様子を観察した後、ぽんぽんと肩を叩いた。
「やっぱり元気ねーな」
「え?」
「ま、しゃーねーよ。あんな人がお前みたいな地味女に本気で惚れるわけねーし。早めに分かってよかったんじゃないの?」
「ん?」
意味も分からず悪口を言われている。あんな人、とは多分、三木村さんのことだろう。確かに最近、毎日毎時間来ていた連絡、あの人実は暇なのだろうかと思うほど来ていた連絡はぱったり途絶えている。私は私の知らないうちに振られたのだろうか。
「何のはな……」
「あ、テレビ見んなよ!」
見るつもりもなかったのに、吉村が言ったせいで気になって見てしまう。食堂に設置してあるテレビの画面には
『三木村博也、香月ゆきえ、極秘結婚!!』
と書かれていた。香月ゆきえとは、三木村さんと同い年くらいの主役級の有名女優だ。とっても綺麗な人。
週刊誌に掲載されたようだ。二人が寄り添って同じマンションに入っていくところが。三木村さんは後ろ姿だけれど、三木村さんのほうを向いて楽しそうに笑っている香月ゆきえ。白黒の写真ですら美しい。
「いや、まあ……、香月ゆきえには勝てねーよな」
「うるさいな」
それからいつもうるさい吉村が黙ってしまったので、私のお昼休みはとても鬱屈としたものになった。