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ハニードロップ
第3章 信じて
 次の日、昨日と同じ場所で利根さんが待っていた真っ黒のバンに乗り込む。それと同時、ぎゅうっと抱き締められた。覚えのある香りに、胸がきゅっとなる。

「奈子ちゃん、会いたかった……」

 耳に響く声は、大好きなもの。私もぎゅっと抱き締め返す。
 しばらくそうした後、三木村さんはそっと私を離す。眉を下げた三木村さんが少し可愛い。そっと頬を撫でる。その手を握り、三木村さんが唇を重ねてきた。

「んっ、ちゅ、ん……」

 唇を舐め、ぬるっと分厚い舌が入ってくる。口内を貪るように舐め回され、はっ、はっと息が上がる。

「奈子ちゃん、可愛い……会いたかった……」

 甘く囁き、三木村さんはその場に私を押し倒す。そして、思い出した。ここ、車の中……!し、しかも利根さんが……!

「ま、ま、」
「大丈夫、俺以外誰も見てないよ」

 気付けば運転席と後部座席の間に分厚いカーテンが閉められていた。窓にはスモークが貼ってあり、しかも外は真っ暗。誰からも私たちは見えない。

「でも声は我慢してね。俺以外に奈子ちゃんの可愛い声聞かせたくないから」

 そう言って三木村さんは私の服に手を入れてくる。お腹を撫でる手に流されそうになる。……けれど。

「三木村さん」
「なーに?」
「まず、話すことあるんじゃないですか?」

 私がそう言った瞬間、三木村さんがフリーズした。そして、どんどん顔色が悪くなっていく。え、え、と戸惑うほど、病的な色になっていって。

「つらい……奈子ちゃん以外の女と結婚なんて、想像しただけでつらい……」

 えーっと……、これは、喜んでいいところかな?
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