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Devil Temptation
第7章 悪魔でスタート
杏は午前中、会社設立に為の書類を持って飛び回っていた。俺はタクシー会社に退職願いを出し、制服を返却した。午後から昨日買った物が届き始めた。部屋は金庫室のある部屋を事務所に使う事にした。杏は運送会社の人に指示を出して、机等をセットしていった。事務所のセッティングにまで、杏の才能は発揮されたていた。
夕飯の出前を食べ、コーヒーを飲んでいる時だった。

「京介さん…あの一つお願いがあります…」

杏が珍しく言いづらそうに下向きに話し始めた。
取り引き先が海外という事もあり、時差の関係で深夜にメールのやり取りが必要になるかもしれないので、空いている部屋に寝泊まりさせてもらえないかというのだった。

「全然問題無いよ。いっその事ここに住めばいいんじゃない。通勤の手間も省けるし…」
「いいんですか?」
「もちろんだよ。だって杏さんと俺は運命共同体でしょ」

俺は笑顔で答えた。

「ありがとうございます。明日荷物運びますね」

翌日、杏の荷物を見て驚いた。俺より荷物が少ない!運んできた段ボール箱の中身は本ばかりでその他の物はスーツケースに全部入っていた。

「俺も持ち物少ないけど、杏さんも少ないね〜!」
「そうですか?もう少し減らしたいくらいですけど…」
「社長!スーツは持ってますか?」
「なんだよ急に社長って…」
「やっぱり仕事中は社長とお呼びした方が良いと
思うので…」
「そうなの…俺は杏さんの事をなんと呼べばいいのかな?」
「杏って呼び捨てにしてください」
「そうなの…分かりました。杏…僕はスーツは持っていません」

会社を設立して、最初の仕事はスーツを買いに行く事だった。杏は既にお店をリサーチ済みで、紳士服の専門店で、オーダーで夏冬2着ずつ、ワイシャツを5枚をお願いした、当然ネクタイ、ベルト、靴と着せ替え人形の様に着せられ、杏が選んでいった。店の店主は「奥様は中々のセンスをお持ちですね」と褒めていた。俺も、奥様というところ以外は同意見だった。

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