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Devil Temptation
第5章 悪魔の価値
俺は一瞬驚きで言葉を失っていた。誤魔化す事も惚ける事も出来なかった。

「ご心配いりません。私は京介さんの味方です。信じて下さい。」
 
杏は俺の気持ちを察した様に笑顔で話してくれた。杏の説明では、ある大手の企業が脱税目的で現金を処分したというのだ。普通ゴミに出せば当然直ぐに当局に連絡が行き、騒ぎが大きくなるので不可。ただ不法投棄をすれば、当然誰かが見つけ同じ事になる可能性があるが、そのまま持ち帰る可能性もある。俺は後者を選んだわけだが…それを追跡していたと言う事らしい。

「杏は俺の監視役って訳だ…」
「違います。私は京介さんのアドバイザー兼補佐です。もし監視役ならこの様な裏事情は話しません」

杏ははっきりと否定していた。

「今回どうして話す気になったの?」

俺としては当然の疑問を投げかけてみた。

「私は今までアメリカで会社経営の勉強をずっとしてきました。でもそれらしい仕事には着けなくて…」

今回現金を拾った人間が(俺)これだけの現金をどう使うのか。もし起業したいとなった時のために、杏は経歴を買われ、その大手企業へベッドハンティングされていたのだ。

「京介さんが起業したいと聞いた時嬉しくて飛び跳ねちゃいました」
「杏さんの事は信じるけど…俺はそんな才能も何も無いけどいいのかな…」
「大丈夫です。そんな京介さんの為に私がいるんですから」

杏は飛びっきりの笑顔を見せた。そして、その裏にある自信に満ちた魂を見た気がした。

「よろしくお願いします。」
「はい」

ここから俺たちは、悪魔を利用していく事を考え出した。



To be continued .........
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