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秘蜜のバイト始めました
第1章 え? 聞いてませんが?
「まあ、あまりやりたくはないけど、仕事だし仕方ないと思っている」

「それに、私が臨時で出演した場合、ギャラが新人さんよりも上増しされるから、懐も潤うのよ」


「ギャラって、そんなに良いのですか?」


「ええ、新人さんでも15万かな、交通費も一律5000円出るし」


(15万!)私の2か月分のバイト代だ!


でも、さすがに人前で裸を晒すのは嫌だ。

それに、裸を晒すだけでなく、セックスまでしなければいけないのは、絶対に無理だ。

私は欲に膨らんだ己を律するかのように首をブンブンと振った。


「ここが女優さん用の部屋、ここで待ってて、ドアは開けたままでね」

杏果が指示した部屋と、その先にもう一部屋、そして一番奥の部屋が扉が開いたままになっている。

杏果は紗栄子を残したまま隣の部屋へと入っていった。

(どうしよう……杏果さんはああ言ったけど、本当に無事に帰れるのかな……)


一人になると、心細さで逃げ出したくなる。


でも、5000円は何としても欲しかった。


ドキドキしながら、私は待つこととする。




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