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ご褒美のあとは
第3章 カードゲーム
気遣うように顔を覗き込んできた高志先輩の息が、微かに頬を撫でた。
ぞくりと体が震えて、足の間がまた熱くなる。

恥ずかしくて俯く私を抱き寄せて、髪を唇で撫でるみたいにキスをされた。

「高志先輩…?」

躊躇いながら顔を上げたら唇を塞がれ、熱い舌がそっと忍びこんできた。
逃げたくても後頭部を支える手に拒まれて、心も理性も全部絡みとられてしまう。

「……ん、」

高志先輩の袖を掴んで溺れてしまわないように頑張るけれど、体の震えはひどくなる一方で、腰から力が抜けていく。

「いつまでやってんだよ」

廊下の先で充輝先輩が不機嫌そうに唸った。
キスを止めると、節くればった親指で私の濡れた唇を拭ってくれる。

「逃げてもいいよ」

そう微笑む高志先輩はとても不安そうで、まだ逃げ道を探していた自分の軽率さに胸が苦しくなった。

「逃げません…」

怖いけど、本当は逃げたいけど、
でも、…決めたから。
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