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イキ狂う敏腕社長秘書
第1章 【悪魔の囁き】
「真田さんっ…!昨日、大丈夫だったか?電話にも出ないから心配したぞ」
朝一番、社長は私に駆け寄り言葉を掛けてくださった。
あっ…!プライベートのスマホは電源を落としたままだった。
充電も出来てないや。
「ご心配をお掛けして申し訳ありません、大丈夫です、緊張しましたが楽しいお食事でした」
私の反応が意外だったのか眉をひそめてる。
「そうか、それなら良かった……でも少し強引だったからすまなかった、妻にも注意しておいたから」
「いえ、私のことは気にしないでください」
「あと、携帯には出れるようにしておいてくれ……昨日は、気が気じゃなかった」
伏せた視線からダダ漏れしている色気。
今日の青いスーツも似合ってる。
口を尖らせて、拗ねているのでしょうか。
デスクにもたれる姿を神々しく朝日が照らしている。
画になりますね。
「わかりました」
24時間、社長にお仕えするってことか。
秘書なら仕方ない。
秘書だから……そう言い聞かせた。
ホッとした笑顔、今度は私が目を伏せてしまう。
勘違いしてはいけない。
私はお給料を頂いてこの仕事に就かせて頂いているの。
それ相応の対価を頂戴してる。
“この身体を使って、あの人を誘惑して”
それは無理、出来るはずがない。
急に頬に触れた指先。
ハッとして顔を上げた。
目の前に立つ社長は私の顔を真剣に見つめてきて一瞬で動けなくする。
「やはり体調が優れないか?医務室で休むといい」
「あ……いえ、大丈夫です」
そう答えるともう片方の手で顔を包み込まれてしまった。
ジーッと見られた後、急に顎をしゃくれさせ「本当か?」と聞いてきた。
びっくりして目がテンになったがここはノーリアクションで「はい」と答える。
立て続けに今度は白目を剥いて「本当なのか!?」と聞いてきた。
耐えろ、私。
「はい、大丈夫です」
何とか答えられた。
が、しかし。
眉を上げ睨みつけるようにしゃくれて
「本当に本当なのか!?」と聞いてきた時は思わず吹き出してしまった。