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イキ狂う敏腕社長秘書
第1章 【悪魔の囁き】
まさか社長が変顔してくるなんて、普段絶対そんなキャラじゃないのにギャップがあり過ぎて失礼ながら笑ってしまう。
「良かった、やっと笑った」
「え?」
「真田さんは笑うと場が和む、これから俺の前では笑っていてくれ」
俺の前では……意味深。
気付かないフリしてやり過ごそう。
この勘違いこそが積み上げてきた関係を崩すことになる。
私情は捨てきることが一番だ。
「わかりました……なるべくそうします」
「うん、宜しく」
「私、そんなにツンツンしてますか?愛想のない素振りしてましたか?」
頬の筋肉に触れながら心配になって聞いてみた。
「そんなことないよ、会社では今まで通りのキミでいい。言っただろ?俺の前では…って」
覗き込んでくるなんてズルい。
腕組みとかアングル的に色々とヤバい。
「癒やしてくれる?オジサンを」
「あ………えっと」
「じゃあ、秘書業務ひとつ追加ね?時々俺を癒やすこと」
悪戯っぽく笑う仕草に頭が真っ白になる。
癒やす……?社長を……?
「えっと……例えば?どのように?人を癒やすって…えっと、難しいですね、うーん……」
社長が喜ぶこと?
美味しいコーヒー?
凄いコーヒー飲むもんね、普段も良い豆使ってるけどもっとリッチなやつ用意しちゃう?
「本当に真剣に考えてくれてるんだね?あー面白い」
「え?冗談ですか?え、違いますよね?癒やすんですよね?ちょっとお時間頂いても良いですか?持ち帰ります」
え、何で笑うの?めっちゃ笑われてる。
また大きな手のひらで頭を撫でる仕草。
「深く考えないでいいよ、そうだな……例えば」
一歩近付いて来られたので顔を上げた瞬間、もう唇は重なっていた。
チュッと一瞬触れ合って「こんな事とか?」ってニッと笑う。
豆鉄砲を食らったかのようにびっくりしてる私。
え、今……キスされた?
え、誰が?社長が!?私に!?
自分でしておきながら真っ赤になってる社長は顔を覆いながら。
「すまん、年甲斐もなく……嫌だったよな」