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イキ狂う敏腕社長秘書
第5章 【妖艶にして耽溺】
ステージもそろそろ終盤といったところだろうか。
明里さんがスタッフに何か言ってすぐに運ばれてきたのは透明の小さなグラスに半分くらい注がれたお酒。
それを一気に口の中に入れて私にキスしてきた。
戸惑いながらも受け入れる私。
口の中の液体が流れ込んでくる。
すぐにわかった。
これ………テキーラショット!?
うわっ……初めてこんなに口に含んだ。
飲んだことはあるけど自分には無理な味だったし長い間飲まずに来たのにここにきて一気飲みとか……喉が焼けるように熱い。
何滴か溢れてそれを明里さんが舐めているような気がした。
まるで媚薬のように意識が朦朧とする。
興奮状態だからハイになってアルコールなんて回らないって思ってたけどこれはすぐにキタ。
「美雨……2人になれるとこ行こうか」
耳元でのそんな囁きに抵抗なく頷いた。
千鳥足なのだろうか、ちゃんと歩けてるのだろうかもわからない。
手を引かれるがままついて行く。
数々のナンパをくぐり抜け再び車に乗ったところで意識がプツッと切れた。
ゴクリ…と喉が潤っていく感覚。
頬を伝い、首元に落ちていく雫。
フワフワした身体。
ゆっくり目を覚ました頃にはすでに身体の自由は奪われていた。
動けばカシャン…と鳴る鎖の音。
手を見れば手錠のようなものを掛けられていてベットに繋がっている。
重い頭を上げ脚を見ると何もなく自由だった。
天井を見つめていても此処がどこだか検討もつかない。
私………明里さんとマコさんの店に行っていて、もうじき帰るとこだった。
そうだ……その間際でテキーラ飲まされて。
「目、覚めた?」
急に声がしてビクッと強張る。
でもすぐにその声は明里さんだと気付いて緊張が解れた。
「手…見た?初めて食事した日のこと思い出すわね」
そういえばそうだった。
あの時も私、酔ってなかったっけ?
意識途切れて起きた時には今と同じような感じだったな。
喉が乾いてないのはきっと明里さんが水を飲ませてくれていたからだろう。
「あの………此処は?」
「マコの店からそう離れていないホテルよ」
ホテルにしては広くないですか…?
スイートだろうか。
だだっ広くて明里さんがどこから来たのか気付かないほどだった。