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イキ狂う敏腕社長秘書
第7章 【妬み、汗、涙】
揺らぐ瞳でわかる。
いつになく凄く動揺してる。
言わないでくれって必死に懇願してるよ、その視線。
イチかバチかの勝負に出たの…?
最後の最後までズルいよ。
言えないのわかってるくせに。
ポタポタとスカートに零れ落ちていく。
その時が来たら面と向かって言えるのだろうか。
私はもうあなたを好きじゃない………
さよなら………って言えるの……?
この手を離せる……?
二度と会わない覚悟はあるのか。
支える相手は私じゃないの。
共に生きていくことは限りなく不可能に近い。
だから身を引くんでしょ。
これ以上一緒に居たら辛いだけだから。
両手で頬を拭ってくれる。
「泣くほど俺が嫌いになったか?」
どうしても言わせたいの……?
濡れた瞳が真っ直ぐ捉える。
「教えてください……どうすれば嫌いになれますか?どうすれば離れられるんですか…っ」
腕にしがみつき泣き叫ぶ私を強く抱き締める。
どんな時でもその手は温かい。
冷え切った私を包み込んでくれる。
もうわからない。
これは、本心なのか。
それとも演技なのか。
憑依してるのか。
はたまたマコさんに対する愛情と似た感じなのか。
真逆なのか。
自分でもわからなくなってしまった。
この涙を意味するものは何……?
「わからないよ、そんなの……わからなくていいじゃないか」
社長の胸……煩いくらい鳴ってる。
高鳴る鼓動が私をも昂らせる。
いっそこのまま嫌いになれたらいい。
愛が憎しみに変わればいいのに。
まだ1ミリも憎しみはなくて困る。
「私………社長のこと尊敬してます、嫌いに……なれません、嫌いになれないから困ってるんです……社長と居ると困ってばかり…」
「困れよ……俺しか考えるな、俺しか欲しくなるな、俺だけを見てろ、美雨」
「その先に何がありますか?私は……幸せになれますか?」
真っ直ぐ見つめ合った。
不倫の先に未来はあるの…?
「幸せにする。俺が必ず。一生かけて身も心も、俺は美雨を選び続ける」
どうしてこんなに真っ赤な嘘がつけるんだろう。
真剣な目して堂々と巻き込んでいくのね。