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イキ狂う敏腕社長秘書
第7章 【妬み、汗、涙】
わかってるの、そんな未来に幸せなどない。
わかってて問いかけた。
見事な解答でしたよ。
もう少し騙されてあげる。
ちょっとした別れの危機を味わせておくのもひとつの手だから。
犯した罪の重さを忘れさせてはいけない。
思い出させたらまた泳がせる。
いつの間にか脚には鉛が繋がっていて溺れていってしまうほどに。
「離婚はしないでください」
「え…?」
「離婚したらこの会社がどうなるかくらい把握してます。あなたはトップに立つ人間だから今まで慕ってくれている社員を手放さないでください」
「そうならないように手立てを考えているよ、本気で美雨と一緒になりたいって気持ち、証明したいんだ」
大丈夫、あなたは明里さんを失うと多くを手放すことになる。
明里さんもそうなることは避けるだろう。
「今すぐ証明して……抱いて」
だったら目の前の愛だけでいいや。
あれこれ詮索せずに不倫の醍醐味だけを味わえばいい。
最初からそう決まっていたはずなのに、何を期待しちゃったんだろう。
幸せになりたい、なんて痴がましい。
「美雨……離れるなんて言わないな?ずっと俺だけの美雨だな?」
そんな不安定になるなら最初からお仕置きされてれば良かったかな。
感情的になってしまった。
女の幸せを求めてしまった。
理解した上で始まった関係だったのに。
「社長のお気持ち……充分に伝わりました。ごめんなさい……我儘ばかり言って困らせて」
「俺がそうさせた、すまない」
「社長のこと、諦めるのを…諦めます」
「美雨……ありがとう、絶対絶対離さないぞ」
強く抱き締める腕に社長の決意を感じた。
そっと背中に手を回す。
決して離れられない関係を築き上げてしまった。
私の中の別の人格。
社長の愛に溺れていく秘書。
上手く演じれば明里さんに褒めてもらえる。
やっぱり言いつけを守らないとマコさんとの関係も許してもらえない気がした。
だからマコさん以外は感情を捨てて繋がり続けると決めた。
「社長、抱いて……やっぱりお仕置き、してください……もう二度と馬鹿な真似は出来ないように躾けてください」