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イキ狂う敏腕社長秘書
第9章 【孤独の先にあるもの】
「おはようございます、社長」
まだ修復しきれてないままの私たちは、あとどのくらい距離を置けば制裁は済むのでしょうね。
ウズウズしてるのは承知してます。
かれこれもう1ヶ月…といった具合でしょうか。
珍しいですね、社長がそこまで抑えきれるとは。
あれ以来、仕事上での関係でしかない。
仕事以外の会話もない。
完璧に秘書を全うしている。
微笑みかけなくなってから結構経っているのでかなりダメージは与えられていると思う。
時には目の前で他の男性社員に笑顔を振り撒いてみようか。
「真田さん、悪いが珈琲淹れてもらえるかな」
「かしこまりました、お部屋までお持ち致します」
面白いくらいに態度に出始めましたね。
限界を感じてくれていたら嬉しいです。
それほどの事をしたと自覚してくださいね。
明里さんには上手くいっているとしか報告してません。
適度に抱かれていると思っておられるのでしょう。
実はその反対で冷却期間なのです。
その方が燃えるでしょ?
「ありがとう」
珈琲をお持ちしてすぐ踵を返す私の腕を掴むのはどうして…?
もうごっこ遊びは終わりですか…?
俯いてても何も伝わってこないですよ…?
「社長?どうかされましたか?」
握る手が若干震えているのは不安の現れですか…?
立ち上がりソファーの方へと連れて行かれる。
また押し倒されるのでしょうか。
そう思った矢先、床に膝をついた社長。
握った手はそのままだが事態を飲み込むのに少し時間がかかってしまった。
「え?社長、何してるんですか?やめてください」
「悪かった………もう二度とあんな事はしないって誓うから……許して欲しい」
え………今にも泣きそうな顔。
どうして?降参ですか?
いつも通りに接していただけなのに許して欲しいだなんて人聞き悪いですね。
「じっくり反省してもらえましたか?」
折れてしまうのは相当甘いのかな。
もうそろそろ良いんじゃないかって思ってしまう。
こんな泣きそうな顔見たら手を差し伸べてしまう私も同罪なのか。
「ああ、俺はやっぱりキミが居ないとダメみたいだ」
思わず両手で膝まずく社長の頬を包み込んだ。