この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
イキ狂う敏腕社長秘書
第9章 【孤独の先にあるもの】
最初はあなたに気に入られたくて必死だった。
あなたを落とさなければならなかったから。
でもその使命感はやがて偽りではなくなっていった。
日に日に想いは募り、誤魔化していた心はひとつ残らず溶かされた。
割り切れない自分にもがき続けた。
苦しかった。
辛かった。
今さら本気になんかなれない、そう思っていたのに気付かぬうちに根っこまで達していただなんて。
認めたくないの。
あなたは私のモノにはなれない、一生。
だったらどんな別れの方法があるかな。
綺麗には終われないのだろうけど、せめて最後まであなたの心を奪い続けられたら死ぬまで忘れられない女になれたりするのかな。
そうなればまだ自分自身を救えるのかも知れない。
そっと頬に触れて見つめ合う。
悲しい顔しないで。
「もう、社長の思い通りにはいきません」
ピクリと頬が痙攣した。
酷なのかどうかは判断出来ません。
でも、言わなければならない事だと強く思うのです。
「この関係、解消しませんか?」
此処でしたフェラチオが最後になりましたね。
たくさん思いを込めてしたので悔いはありません。
明里さんにも謝って許してもらおう。
それから帰ったら辞表を書こう。
もうこれ以上ズルズルするのは良くない。
「本気………なのか?」
一歩下がって距離を取る。
今決めたと正直に話せばどんな手を使ってでも引き止めてくる。
だから開き直るのが一番だと思った。
「ずっと考えてました、たくさん悩んで辿り着いたので」
「勝手に決めるなよ…!話し合うべきだ」
話し合ったって何が変わるの?
丸く収めようとするだけじゃない。
私が決断しなければ終わらないの。
「もう……決めたので」
「待って…!本当に俺が嫌いか?もう何とも思ってないのか?ちゃんと言ってくれよ、納得するように俺が嫌いだって言えよ」
掴まれた手首が痛い………
胸の中心はもっと痛い………
視界がぼやけてく。
「………嫌い。社長なんか嫌いです」
ポロポロと零れ落ちる涙の止め方を知らない。
こんな風に泣いたら思うツボなのに。
もっとはっきり嫌いなところ言えたら良いのに。
苦しくてやめたい………この関係。