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イキ狂う敏腕社長秘書
第2章 【緊縛の底知れぬ快感】
「真田さん!今、帰りですか?」
エレベーターで一緒になった……えーと、確かこの方はマーケティング部の……名札もう外されてるから確証はないけどおそらく木田さん?木本さん?どっちだ?
「あ、お疲れさまです」
「いつも帰り遅いんですよね?今日はたまたまですか?」
すっごいフレンドリーな人。
人懐っこいと言えば聞こえは良いが。
何度も顔合わせてるのに名前がうろ覚えとは失礼過ぎる。
周りからはタクさんとかタクトとかで呼ばれてるから名字を覚え損ねた。
私がいきなりその愛称で呼ぶのは距離感がおかしい。
この人みたいに馴れ馴れしくは出来ない。
「あの、髪切りましたよね?ちょっと一瞬わかんなかったです」
「あ、はい!一昨日切りました!うわ、覚えててくれたんですね?ちゃんと言ってくれたの真田さんだけです」
「そうですか?割と雰囲気変わられてますよ?お似合いです」
当たり障りない会話は自然と身に付くものだ。
「マジっすか?嬉しい〜!毎日顔合わすメンバーは一言もそんなこと言う奴居ないんすよ、俺から言いましたもん。へぇ、あ、本当だ…って反応薄っ!」
仕事以外で話すのは勿論初めてだがこんな喋る人だったとは。
打ち合わせなどで見せる顔とはまた違う。
いや、違ってて当たり前か。
皆、オンオフをきっちり分けてるんだな。
地味に凄い………見習いたい。
フッと笑ったつもりだが何故か固まらせてしまったようだ。
1階に着いて、もう職業病とも言えるが先に降りるよう促してしまう。
「いえ、真田さんがお先にどうぞ」
ハッとして素直に従う。
「すみません、癖で」
「いえ、一瞬だけですけど社長になれた気がしました、ありがとうございます…いや、それは可怪しいか」
自問自答を繰り返す彼が面白くてまた笑ってしまった。
「反則っすね、その笑顔。皆が可愛いって言ってるのわかります」
「え?」
「いつも俺ばっか会えたりするので羨ましがられてます皆から。今もきっと」
そう言って彼は周りを見渡した。
それにつられて私にも見るとチラホラとロビーに居る社員たちから見られている。