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イキ狂う敏腕社長秘書
第1章 【悪魔の囁き】
指導が外れ、ようやく私の独り立ちが始まった頃。
就業時間も終わりを迎える夕刻。
ノックもせずにツカツカと社長室に入って来た人物は接触2度目の社長婦人だった。
頭を抱える社長は
「お前はいつもアポなしだな」と呆れてる。
「別に良いじゃない、夫婦なんだから」
明日の業務報告も済んでいたのでお辞儀をし立ち去ろうとしたら止めてきたのは社長婦人の方だった。
「秘書は慣れてきた?主人の相手だと何かと大変でしょ?」
え…?距離がやたら近くて戸惑う。
顎クイされて見定めているかのよう。
「あ……いえ、まだまだ不慣れでご迷惑をかけているのは私の方ですので…」
「あなた、もう終わりよね?」
「はい……業務は終了致しました」
「少し時間もらえる?」
「おい、真田さんに何するつもりだ?」と社長も割り込んでくる。
「真田さん…?へぇ、彼女にはそう呼んでるんだ?」
「何が言いたい」
「やっぱりね、彼女を推して正解だったわ」
え…?推してって……もしかして社長婦人の一声でこの人事は決まったの…?
ギュッと私の腕に絡めてくる婦人が何を考えていらっしゃるのか検討もつかない。
「とにかくハードな職務をこなした後だ、休ませてやってくれ、他の日にでも業務時間内で時間を取らせよう」
「あら、これから長くお付き合いする社長秘書と親睦を深めたらいけないの?食事をするだけよ、終わればすぐに家まで送るわ。さ、行きましょ」
「え、あ……はい!」
「おいっ…!」
グイグイと私を引っ張り強引に退社させる婦人の送迎車に乗せられ料亭へと連れて行かれた。
「あなたとは仲良くなれそうな気がしているの」と言われて悪い気はしない。
歳も近いのよと30歳だと打ち明けて頂いた。
元CAで語学は堪能、社長との馴れ初めも色々と聞かされた。
緊張状態だからお酒ばかり流し込む。
次々に注がれる白ワイン。
「案外飲めるのね」と余計気に入られてしまった。
食べた事もない美味しい懐石料理に舌鼓をし、お酒も程よく回ってきた頃。