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イキ狂う敏腕社長秘書
第13章 【狂愛、略奪】
私の手を握り深々と頭を下げて「ごめん」を繰り返す。
一歩下がった第三者的な目線で見れたのはいつものマコさんに戻っていたからだろうか。
「許されない事したと思ってる……もう二度と会わないと言うのならそうする……ただ、ちゃんと謝りたくて……本当にごめんなさい」
指先が震えてる。
昨日のマコさんは幻だったの…?
紛れもない一部だと思う。
妙に冷静で居る自分に少し違和感を覚えたが、たくさん人が行き交うオフィス街。
「もう……過ぎた事ですので、良いです」
顔を上げたマコさんと近くで目が合って、瞳の奥がまだ悲しみに暮れている事も知った。
知った上で声を掛けるとすればこんな言葉なのかな。
「もう二度としないって誓ってくれるのなら二度と会わないなんて言いません」
ようやく見れた大好きなマコさんの笑顔。
フワッと包まれる香りにクラクラきちゃう。
大通りなので恥ずかしくてすぐに離れたが「送る」と車に乗せられた。
何気に初めて乗るマコさんの車。
左ハンドルのメルセデス・ベンツ。
大きな車体でかなり目立ってる。
そのハンドルを握ってるのがとんでもない美女だなんて格好良い。
自宅に着いて降りようとしたらその手を止めてくる。
もう一度謝って来たから首を振った。
「ちゃんと……アフターピル飲んだんで」
そう笑いかけたらシートベルトを外し抱き締めてきた。
「ごめん、美雨が好き過ぎて嘘ついた」
「え……?」
「どんな反応するのか見たくて嘘ついたの」
「嘘……って?」
「本当は手術してない……だから妊娠なんてしないよ」
抱えきれないほどの恐怖とずっと背中合わせだった。
一気に押し寄せてきた安堵の涙を嗚咽と共に吐き出す。
バカ…バカ…とマコさんを叩いたりもした。
「怖がらせてごめん…」
ごめんじゃ済まないよ。
宿るかも知れない命とどう向き合えばいいのかずっと考えていたのに。
嘘だったなんて。
それに安心してしまった自分も許せない。
最低なのは私もだ。
まだこんな未熟な自分が簡単に生み落とすもんじゃない。
私、誰の親にもならない。
なっちゃいけない。