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イキ狂う敏腕社長秘書
第13章 【狂愛、略奪】
どんなにそう強く思っても、心に誓っても私は底辺の人間なんだ。
一番リスクを伴うセックスがやめられないんだから。
バカみたいでしょ?
大好きなマコさんに抱き締められながら届いた一通のメッセージ。
(会いたいです)
携帯を確認して胸を焦がす。
せっかく家まで送ってくれたけど行かなきゃいけなくなった。
帰ろうと身体を離した瞬間、今度は着信が鳴り始める。
すぐに湊くんだと確信した。
「あ……帰ります」
慌てて車から降り離れながら通話した。
「もしもし、どうした?」
第一声は必ず優しく問いかけるようにしてる。
沈黙が続くから思わず名前を呼んだ。
__美雨さん……会いたい……です
「風邪ひいたの?」
__すみません、会えませんよね。
「会いたいんでしょ?待ってて」
もう身体は彼の家へと向かっていた。
その手を止めたのはやっぱりマコさんで。
一緒に車から降りて会話も聞かれていた。
掠れた声が弱さを醸し出していて今すぐ傍に行ってあげたい。
一方的に電話を切り引き止めてきたマコさんの手を解いた。
「え、行くとか言わないよね?」
何も言わずにマンションとは逆方向へと歩いていく私を何度も引き止めて来るの。
「ダメ……私が行かないと」
「ねぇ、待ってよ、私よりそっち取るの?」
可怪しいです、その質問。
そんな事言うんですね。
私と仕事どっちが大事なの?って聞く女子みたい。
珍しく焦ってます?
「離して」なんて取り乱しませんよ。
その胸に飛び込んでキスをしたらその怒りは収まりますか?
「こんな風にしたのマコさんじゃないですか」
ぐうの音も出ないですよね。
勿論、元凶は明里さんかも知れません。
でも黙って見てたのは事実だし、逆らえないのは今もでしょ?
だから私はもう期待しないって決めたの。
抱きたい時に来るなら私も、抱かれたい人の元へ行く。
「ごめんなさい、行かなきゃ」
こんな時の笑みは酷なのかな。
するりと抜けてく手はもう止められる事はなかった。
初めて、マコさんの手を自ら手放した。
この選択は間違ってなかったと思いたい。