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イキ狂う敏腕社長秘書
第3章 【覚醒する心と身体】





心地よい春風が肌に通り過ぎていく頃。
いよいよ10周年式典も間近に控えて私たちはまた例のオーダーメイドの店に足を運んでいた。




店に入るやいなや足を止めた社長。
危うく背中に顔をぶつけてしまうところでした。




「来てたのか」




背後から冷たい言葉が聞こえてきた。
社長がそう言った先に居た人物に目を丸くする私。




「あら、居たら都合でも悪いの?あ、美雨ちゃ〜ん、久しぶり」




「あっ…お疲れさまです、婦人」




「明里って呼んでよ、歳も近いんだし」




「いえ、社長婦人にそのような呼び方は……」




「その謙遜的なとこも可愛い〜!ね、忠幸さん」




最後の語尾、強調してた気がする。
わざと私に見せつけているフリだろうか。




「お前もオーダーしたのか?」




間髪入れずに話題を変える社長の隣に立つ明里さん。
やっぱりどこからどう見ても美男美女で羨ましい。
17歳差の夫婦なんて全然見えない。
社長が若く見えるからで決して明里さんが実年齢より上に見えるとかではない。




「うん、ちょうど友達ともパーティーがあって一緒にオーダーしたの」




「ふーん、友達?」




「あ、来た来た!」




後ろに向かって手を振るから目で追ってしまった。
慌てて店に入って来たのはやはり…と言うべきか、完全にフルメイクしたモデル並みの美貌を持したマコさんだ。




社長とマコさんって面識あったのかな?




そう思った瞬間に明里さんがマコさんを社長に紹介していた。
接点……持っていいの?と内心思う。
この前の食事で私とマコさんも面識があると話していた。




「で、忠幸さんは美雨ちゃんを仕立ててあげたの?」




「ああ、初めての式典だしドレスコードも教えておかないとな」




もっともらしい台詞。
私もただ着いてきただけの雰囲気を醸し出さなければ。




店員さんが出来上がったドレスを持って来てくれたのに対しあからさまな態度を取る明里さん。




「ねぇ、カラーも忠幸さんが決めたの?」




「ああ、そうだよ」




「ふーん、私のカラーも聞かずに?被ってたらどうするつもり?」




一瞬で凍てつく空気。











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