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イキ狂う敏腕社長秘書
第4章 【甘い蜜と策略】
「もし用事がなければ式典が終わった後の時間は俺がもらってもいいかな?」
「え……」
真っ直ぐ私を見てるから危うく捕まりかけた。
「そろそろ本当に食事行ってくれない?飲み直そうよ」
あ……でも。
社長から連絡が入るかも知れない。
「あ……えっと」
今すぐ答えれないので曖昧な態度を取ってしまい失礼だと思った。
それほど近くないのにわざわざ聞こえるような声で明里さんは。
「この後はごめんなさいね、主人と久しぶりにデートなの。ナイトシアター予約してくれてるのよね?だから式典が終わればお暇します」
参加者の方からお誘いを受けたのか断っている様子だ。
デート………社長と。
背中越しに少なからず感じている視線。
「真田さん…?無理にとは言わないけど」
顔を上げてニッコリ微笑む私は2つ返事でOKしてしまっていた。
私だってたまには羽伸ばしてもいいよね?
夫婦水入らずなら出る幕なんてない。
今日は私が居なくても良い日……だよね。
明里さんと目が合った。
あの日言われた言葉を思い出す。
“あの人だけじゃなく他の人にも抱かれなさい”
“色んな味を覚えなきゃ”
そんなこと器用にやってのけれない。
永田課長を利用するみたいで気が乗らないけど、食事くらいなら…と知らぬ間に高い位置に置いていたハードルを下げてみた。
こんな私をわざわざ誘ってくれてるんだ。
有り難くその船に乗ってみようかと思った。
確かに……視野を広げる事は必要かも。
視野が狭いと苦しくなってばかりだから。
クスッと笑う明里さんから目を逸らした。
隣に立つ社長もこっちを見ていた気がするけど目を合わせる勇気もない。
万が一目が合ったとして、冷たく逸らされたら当分立ち直れない。
今は必要ないよ、大人しくしてろ、立場弁えろよって言われてる気がして視界に入れないよう遮断していた。
来ない連絡を待つほど辛いことはないから。
「あっちのテラスの方で話さない?」
そう誘われ永田課長の後を歩いていく。
途中でドリンクを受け取るも。
「飲める?」と聞かれ咄嗟に車を運転するかも知れないと頭によぎりシャンパンは受け取らなかった。