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イキ狂う敏腕社長秘書
第4章 【甘い蜜と策略】
項垂れるように街灯にもたれ出した。
え……?倒れちゃうんじゃ……?
アルコールも入ってるはず。
疲れてもいるからゆっくり休んで欲しいのに。
どんなに体力あっても免疫落ちてるよ、きっと。
傘を持ち外に飛び出していく身体。
これは真田美雨としてじゃない。
専属秘書としてお仕えしてるだけ。
大切な社長を倒れさせる訳にはいかない。
疲弊している身体を労うのも務めだと思ってる。
傘を差し雨から身を守る。
「社長………何してるんですか、早く帰らないと風邪ひきますよ」
「美雨……不安にさせて悪かった」
前髪も濡れて雫が垂れてる。
ヤバい……相当濡れちゃってんじゃん。
来るまで待ってたの?バカ……
「もういいです……ちゃんと引きずらないように明日からいつもの秘書を全うしますから今日はもう帰ってください」
そう言って傘を握らせた。
その手を掴まれいとも簡単に抱き締められる私も隙きだらけ。
「嫌だ……元の関係なんて…俺は美雨を手放したくない、好きなんだよ…!」
着ていたパーカーがジワッと染み込んでいく。
本当なら気持ち悪いはずなのに背中に回したい手をグッと我慢してた。
だってダメじゃん……今折れたら。
せっかくの決心が泡となって消える。
お願いだから離してって思うのに、待ってる自分が居る。
「美雨じゃなきゃダメなんだよ……」
私は本当に……正真正銘の馬鹿だ。
震えながら懇願する社長を振り払えない。
どうして傘を差し出してしまったのか。
どうして降りてきてしまったの。
どうして今、手を取りマンションへ連れて行くの。
「シャワー浴びてください、風邪ひいちゃう」
ポタポタと濡れたままの社長を部屋に上がらせる。
鍵をかけた途端に襲われるのも目に見えていたのに。
「やめて、ちゃんと話聞くから今はすぐにシャワー浴びて」
強めの口調で言うと素直に従ってくれた。
スーツは洗えないから後で浴室乾燥機で乾かそう。
その他は洗濯する。
服が乾くまでの時間……とは思うが、時間的に大丈夫なんだろうか?
明里さんに何て言って出て来たのだろう。
デートした後に外出する夫を快く見送るはずもない。